ぽしゃ

いつか忘れた頃に読み返すための雑多な記録帳

サン・セバスチャンへ、ようこそを観てきた感想/とてもよかった

サン・セバスチャンへ、ようこそ』という映画を観てきました。

とても良い映画でした。久しぶりにのんびりした映画観たな……良かった……とても良かった……すーっと染み渡る感じ……。

クラシック映画に詳しくないのでオマージュはほとんどわからなかったんですが、きっと名作映画好きの人が見たらもっと面白いのかなとも思いました。

以下、ちょっとだけ内容に触れる感想を。まだ映画を観てない人はご注意下さい。

 

 

 

 

 

途中まであーいるいるこんなおじいちゃん……と思ってたらだんだんなんか良い感じになっててほんわかした。

主人公が旧約聖書の登場人物に恋をしたとか復活する日は労働者の祝日?にすべきだとかぐちぐち言ってる部分であぁいいな〜となる。

スペイン語でまくしたてるところは笑ったし、酒瓶放り投げたところも笑った。

昼間にのんびりチョコを挟んだパン?を持ってピクニックしてたのもほっこりしたし、そこでの会話も良かった。

主人公の心情とは裏腹にスペインの景色がとても美しくて、そんな景色の中にあってもなおモノクロのクラシック映画に入り込んでしまう主人公の姿がだんだんと微笑ましく感じられました。

主人公が悪口を言われている(?)シーンで胸が痛くなった。思い当たる節が多すぎて……。主人公に感情移入させる手際が上手すぎる。あんなん見せられたら自分みたいな人間は主人公に共感してしまう。

最後のフェードアウトしていく黒いやつとの会話も良かったし、人生ってそんな感じだよね、という甘くはないけどどこか優しい着地点がとても好みでした。

 

自分の人生を「空っぽ」だと嘆いた主人公に「空っぽと無意味とでは異なる」と諫めたところが心に残った。人生が無意味であっても、それがすなわち空っぽだとは限らない。大事にしたい考え方だと思った。

 

 

レビューを眺めてたら「いつものウディ・アレン、星3.5」って感じでなんか常連客らしき人のコメントが多かったのが面白かった。

きっとそういうレビューがつくってことは自分はこの人の作品が好みなんだろうな〜と監督の過去作品眺めてたら『教授のおかしな妄想殺人(2015)』とか『女と男の観覧車(2017)』とかがあってびっくりした。

『教授のおかしな妄想殺人』は個人的に思い入れの深い作品で、大学の六限終わった後に今はなきTOHOシネマズ日劇の大きなシアターで、自分含めて5人程度しか観客がいない状態で二階席から観ていて、はじめはつまんないな〜と思ってたけど色々思い詰めている時期だったこともあり最終的にはボロ泣きしていた。(※確かそんなにボロ泣きする内容ではない)あとラストが結構印象に残るものだったので珍しく明確に覚えている。

いまだに映画を観る時は「『教授のおかしな妄想殺人』みたいなやつだといいな〜」と思うくらい好きです。

そうか……私の好きな映画を作ってくださってたのはあなたでしたか……道理で今作もめちゃくちゃ楽しめたわけだ……。

 

サン・セバスチャンへ、ようこそ』、とても良かったです。今回は平日の水曜日夜に観ましたが休日の午後にぼけーと観るのも絶対良い。登場人物に共感できなくても、美しい風景を見るだけでも楽しめると思います。