ぽしゃ

いつか忘れた頃に読み返すための雑多な記録帳

ザ・クリエイター/創造者を観てきた感想

ザ・クリエイター、観てきました。
最近のマイブームが近未来・ディストピア・AIなのでめちゃくちゃ面白かったです。

内容に触れない感想としては謎ダサ日本語フォント(製作のこだわり?)と龍角散ダイレクト。

 

 

以下、内容に触れる感想をいくつか雑多に。ネタバレもあるので観てない人は注意してください。

 

 

まず、ドビュッシーの月の光を採用する作品は名作と信じているので、挿入歌で流れて、さらにエンドロール前でも流れてめちゃくちゃテンション上がりました。

月の光が好きな人は観に行ってほしい。

 

内容的な面で言うと、ラストのアルフィの笑み、めちゃくちゃ怖かったです……。わけもなくなんだかゾッとしてしまった。他の方の感想はこれから探るので私の気のせいかもしれないですけど、なんか……ラストにホラー見せてくるやんけと感じました。

節々で「AIの自由がほしい」と答えているところを見てもやっぱり自由を求める存在として創られているのかな、と感じてしまったからかな。

幼い姿をしていて、泣いたり笑ったりする姿は可愛らしいんですけど人間っぽくないところの魅せ方が絶妙というか。

AI造形の面で言うと、アルフィの泣き顔について顔の片側だけ表情を歪ませる、右目と左目のアシンメトリー具合が人間らしくなさを感じた。

 

 

ロボットが機械として電源オフ(婉曲表現)されるところは観ていて心が痛んだ。

よく「作品内の人が死ぬのは構わないけど犬が死ぬのはイヤ」って言う人がいるのはこういう理屈なんだなって思いました。

映画内でかなり容赦なく人もロボットも殺されていくのでウワ……と目を逸らしてしまった。

 

 

人間側。西側の軍服姿などは冷戦期を思わせる古い感じで、でも武器は最新鋭で、というちぐはぐな感じが妙にフィットしててよかった。

どちらかというと西側の人間側の瑕疵を描いてる、というより結論だけ言うと「にんげんは愚か」に尽きる内容だと思うんですが、かといってAI擁護派に感情移入できなかったのはなんだかんだ自分は人間側という自覚があるからなんでしょうね。

「あんたらはAIに勝てないよ!」的なセリフを見ると「なんだと〜!?」と言い返したくなる。

AIに心があるか痛みを感じるか、みたいな問題とは別に、どちらの側に立つかと言われると難しい気もする。

核が落ちたのはヒューマンエラーだったと語られるわけですが、その責任をAIに押し付けて排除しようとするのはある意味とても人間らしい振る舞いだと思うし、そういうどうしようもなさは個人的に好きなのでその話が出た時もそっか〜〜……そうだよなあ……と納得しつつ、でもAIは機械だから人間の決定に逆らうのは……となってしまった自分は、きっと滅ぶべき人間側なのでしょう。

 

 

 

 

 

一応人間陣営は「西側」だけど、作中では「アメリカ人」と強調されてるところがこだわりを感じました。「アメリカ人」と聞いて連想されるイメージってなんだかんだ強いもんな……というのと、この映画では東洋(日本・タイ・サウジアラビア系)をニューアジアとして一緒くたとして扱うぞ!という潔さを感じられてよかった。

ニューアジアがAIを擁護したのは、まぁ、ロサンゼルスに核が落ちても東洋的には正直そっかぁ……って感じだからかもですね。距離的にも関係的にも他人事というか。ただ核となると日本は一悶着あるだろうし、アメリカには逆らわないだろうし、と思った。マヤはどのあたりの国のイメージなんだろう、日本……?

そういえばヨーロッパ的存在が出てこなかったけどやっぱりアメリカ側なんだろうか。エンドロールに各国のユニット紹介があったけどその中にヨーロッパ諸国の名前があったかな……。

 

 

 

あの後、映画の中の世界はどうなっていくんだろう。ノマドにはたくさんの人がいたはずだし、その中には仕事として草を育ててた人もいたはずで(避難ユニットで脱出できた人も多そうだけど)助からなかった人もいたんじゃないだろうか。

いやもちろん、ノマドは堕とされるべき存在だったのだと思いますけど。

手放しによかったーとはならない終わり方に感じられたのでラストのアルフィの笑みがミッドサマーのラストを想起させるホラーに見えてしまったのかもしれないです。

 

戦争ものの映画って意図的に観るのを避けてて(出来がどうとかというよりは単純にあまり気が進まないので)、ザ・クリエイターもスルー予定だったんですが、改めて観るとやはり戦争が生み出すものは計り知れないなという感想になりました。

が、映画としては兵器やSFな技術の演出がとてもワクワクしたので、レイトショーで観に行ってよかったです。時にはスケールの大きいストーリーに触れるのは大事だなって感じました。人におすすめできる作品だと思いました。以上、おわり。