ぽしゃ

いつか忘れた頃に読み返すための雑多な記録帳

桜がなくても春が終わっても

最近は軒下にコスモスの芽やサボテンが並んでいるので、気が向いたらガラガラと網戸を開けて風に揺れる芽を眺めている。

室内は衣替えやら何やらで散らばっている。そこから目を背けて外へ行きたいなーと思うこともしばしば。

たった今、外でやりたいことといえば晴れた日のテラス席でハンバーガーにかぶりつくことだけど、もうちょっと情緒的な回答をするとしたら「肉を焼きたい」です。

 

今週のお題「外でしたいこと」

 

幼い頃に住んでた土地では花見と言いつつ花の一つも飾らずに肉を焼いて酒盛りをする、という文化があったのでいわゆる桜の下でシートを引いてお弁当を食べるみたいな花見をしたことがない。というか本物の桜を見ながら弁当を食べる花見とかファンタジーだと思っていた。花見といえば肉を焼く。

町内会の集まりで肉を焼き、習い事の打ち上げで肉を焼き。春といえばと肉を焼く。

都会にきてバーベキューをやったこともあるけど、違うなあ、という感じだった。他の団体もいる中、一つの区画だけレンタルしてやるバーベキューももちろん悪くはないんだけども、肉を焼くって感じじゃない。

それよりは親睦会とか花見とかいう名目でだだっ広い草原を占拠して、何組もの家族が同じセットを使って個々に肉を焼く、というシチュエーションの方が馴染みある。

そういうイメージが先行するのは自分が田舎で育った証拠なのかもしれない。田舎というか、人口に比べて広い土地を有する町というか。

 

 

あたたかい日に香ばしい匂いがすると「どこかの庭で肉を焼いている!?」と匂いの元を探す。しかし住宅街だと炭火を使うことも憚られるのか、未だ屋外で肉を焼いている家を見つけたことがない。多分どこかの換気扇から流れ出た焼き肉の匂いに反応しているだけだと思う。

でもその度に晴れた昼間から家の外で肉を焼くのって絶対最高だろうなあと想像する。冷蔵庫の野菜をすぐ持ってこれるし、好きなだけ肉を食べられるし、後片付けのあとは家の中でダラダラできるし。そういうわけで家のベランダや庭で肉を焼くのも憧れる。

ベランダや庭で、あるいは家から離れたどこか遠い場所で。陽射しを浴びつつちょっと緊張しながら食べる肉はきっと美味しい。

外で、春と夏の間の季節に青々と茂った草原で、だだっ広い空の下で肉を焼きたい。そしてその肉を誰にも憚ることなく腹一杯食べたい。